同族会社間で取引するとき
一般の不動産取引であれば、契約は自由に行い得るため、その取引価格も自由に設定することができます。
しかし、法人と役員の間、同族会社間における不動産取引は「時価」によるものとされています。
この場合、不動産の時価は相続税路線価により計算することも可能ですが、市場における時価と乖離している場合もあります。
また、同族会社間取引は、利益操作に利用される等との判断から、一般の不動産取引とは異なり、課税当局からの厳しいチェックの対象となり得るため、その取引には十分注意する必要があります。
相続税路線価に基づく価格の限界
法人と役員の間といった不動産取引、同族会社間における不動産取引は時価によるものとされています。
例)社長所有の土地を法人に売却
この場合、相続税路線価による簡便的計算方法(※)により価格を計算し、取引価格を設定することも可能です。
※
簡便的計算方法=相続税路線価÷0.8
この方法は一般的な戸建住宅地等の場合には現実的な価格を得ることができるかもしれません。
ただし、近年は地価の二極化が顕著であり、収益物件のように土地と建物を分離して計算することが困難な不動産や権利関係が複雑な不動産も存在するため、相続税路線価により計算した価格が適正な時価を表しているとは言えない場合もあります。
特に、時価より低額で譲渡した場合、売買価格と時価との差額に対して課税される可能性があるため、不動産の価格調査により適正な売買価格を査定しておく必要があります。
取引価格の信頼性のために
同族会社間の不動産取引は都合の良いように取引することができるのではないか、と恣意性があるように判断されやすいのが実情です。税務対策だけではなく、利害関係人に対する売買価格の証明としても不動産鑑定評価を取得されることをお勧めします。